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2016年9月26日月曜日

2016年9月20日火曜日

みそろぎ夜話⑰

人形の表現は、欧米と日本でかなり違いがあると思います。欧米の作家はジオラマのように作品にメッセージやストーリー性をはっきり持たせる傾向がある一方、日本では人形そのものに内面的な内容を持たせるように思います。しかし、最近はその差異も少し曖昧になっているかもしれません。

・ロミナ・ベレニス・カネット

Romina Berenice Canet
アルゼンチン人のロミナさんはイギリスで作家活動をしています。大好きなサーカスをモチーフに、詩やイラストから人形、テディベアと幅広く制作をしています。サーカスのシュールで幻想的なイメージから生まれる「あなたが寝ている間に」のシリーズは、悪戯心のあるタイトルと表情がなんとも言えない味わいがあります。




・クセニア・シンコヴスカヤ

Ksenia Shinkwskaya
FANTANIMA!でもおなじみのシンコヴスカヤさんは、モスクワ大学を卒業したエリート。今はラトヴィアで森や山を歩き、そこで出会った精霊の姿をフェルトで制作しています。洗練されたデザインと飛び抜けた発想、ユーモアのセンスで、ぬいぐるみ作家のなかで強い個性を発揮しています。





・ダヴィデンコ・アンナ
Davidenko Anna
同じくFANTANIMA!で大人気のダヴィデンコさん。エストニアの作家で、小さなベアのアクセサリーは大人気ですが、バルト海の海岸で拾った石や貝殻などで次々に奇妙な愛らしい生き物を生み出してます。彼女の発想の豊かさには果てがないように思うこと、たびたびです。



みそろぎ夜話⑯ 

人形はアートにおいても普遍的なモチーフです。それ故に、カテゴリーを往来して活躍する作家の方もいらっしゃいます。

・Noe(高橋野枝)さん

Noeさんは人形展、美術展、フィギュアのイベントなど、あらゆるジャンルのイベントに出品しながら、どこでも馴染み、そのジャンルにおいての評価を得ています。さらには、ロシアでも文化の壁を越えてすぐにファンを魅了してしまいました。オリジナル作品では珍しいことだと思います。作品の持つ不思議な無国籍性は、愛する動物や生き物の観察を通して生まれる自由で確かな造形力と発想によるものではないかと思います。

・河野滋子さん
河野滋子さんの人形のフォルムの緊張感は、作品の大きな特徴で多くのファンを魅了してきました。最近では現代アートとして作品発表をするようになり、形がさらに抽象的になる傾向がありますが、そのなかでリラックスした気分が浮き上がってきているように思います。本展に向けて制作された「生き物のフォルム」には、水か空中を浮遊する妖精のような愛らしさを感じます。



・コイケジュンコさん
人形ではありませんが、ひとがたつながりということで、今回は美術家のコイケジュンコさんの木版画「じじばば百景」を出品して頂きました。浮世絵のスタイルで現代の下町の老人の日常的な風情をユーモラスに描いています。現代美術としての作品ですが、本展では郷土人形の合間に掲示しました。考え方では郷土人形もシュールな美的側面があります。それらがしっくりなじみ、郷土人形の「日常的」風景に溶け込みこの版画のコンセプトを再認識しないままご覧になった方も多いのではないかと思います。




みそろぎ夜話⑮

さて、早くもMISOROGI人形展最終日を迎えることとなりました。人形に対して、様々なアプローチがありますが、この展示は人形を作るという遊びに大まじめに取り組んでします大人が集まっているように思います。もちろん、真剣にならないといいものは作れませんが、芯に遊び心を持つことは不可欠だと思います。
大正時代に大人なのに郷土玩具を愛好する人たちを「子供」に対して「大供」、郷土玩具を大供玩具と呼んだことがあったそうですが、 現代の大供はこんな人たちでしょうか。

・安達忠良さん
冗談彫刻と称し、長野の自然に囲まれた環境でウィットとユーモアのある木彫の人形を作られてます。だいたい動く仕掛けがあり、笑いを誘う動きが見られます。今回は季節にあわせてワインボトルを使った男女。いつも楽しいお酒を飲まれている安達さんの姿が想像できそうです。

・ユニバーサル・プーヤンさん
複製する樹脂のボディの原型から衣装まですべて自身で制作する夫婦ユニット。二人に共通するのは、おもちゃが大好きだったこと。コレクターとして量産の玩具に関する知識は豊富なだけに、オリジナルキャラクターをつくりあげるまでに、微に入り細に入りこだわりがあり、制作の苦労談が沢山あるそうですがどれも面白おかしく聞こえてしまうのは、すべては玩具への愛情ゆえ。大供そのものと呼びたいお二人です。



・本多厚二さん
風のように自由な子供心には、落ちている小枝やガラクタも命あるものに見えてしまう。本多さんの作品を見ていると、何でもない素材に魔法がかけられたように、詩的な風景が生まれてきます。大供のものつくりでないとできない技ではないでしょうか。



2016年9月19日月曜日

みそろぎ夜話⑭

郷土人形は庶民が一般の暮らしになじんだものでした。現代の私たちが見ている
愛らしい色や形は長年の変遷を経て練りに練られたものだと思います。量産の土産物の制作発注が中国や海外に流れていく状況で、地域の素朴な素材、一筆の勢い、遊び心は他に変えられないものだと思います。型から作る人形ですが、どれも一点ものに値する魅力があります。

・太田幹子さん(髙松宮内張子)

昨年のMISOROGI人形展のメインビジュアルとなった「奉公さん」、会場で大人気となりました。髙松に伝わるこの張り子人形の愛らしさは、災厄を担い平癒を祈る無私の心に由来するのではないかと思います。本年は、他の人形もいろいろ展示しています。御殿狆のまん丸の目、福助さんのおめでたい顔を見ると、郷土玩具は日本のポップ元祖といってもいいかもしれませんね。






・永田禮三さん(木の葉猿)
日本のアニミズムを感じさせる郷土人形といえば、まず熊本の木の葉猿を思い出します。1200年あまりの伝統をもつ素焼きの猿。白、赤、青の色づけも鮮やかでインパクトがあり、団子猿などは現代美術として展示されても分からないのではないかと思います。先祖伝来の技法を守る永田家による制作で災難除け・子孫繁栄のお守りに使われてます。




2016年9月18日日曜日

みそろぎ夜話⑬

本展に協力しているチーム・コヤーラは、隔年で創作人形公募展を開催しています。この公募展は、出品作品へのオープンな講評と出品者同士の交流を目的としています。応募をきっかけに、本展やFANTANIMA!などの協力企画に新人として挑戦する道も開かれています。
第3回チーム・コヤーラ公募展は本年11月14日から20日までNHKふれあいホールギャラリー(東京・渋谷)で開催されます。

・風らい坊さん
風らい坊さんは第2回の公募展で四谷シモン賞を受賞しました。フェルトの人形制作は人気がでてきていますが、風らい坊さんの人形には往年の人形絵本に見られるような哀愁と目の力に特徴が見られると思います。
第1回のarchibrasさんとあわせると、この2回の結果を見る限りにおいては四谷シモンさんの関心は、小さく愛らしいく個性的な布の人形に向けられています。さて、本年はどうでしょうか?


・ゆきちさん
ゆきちさんも毎回出品されている方で、小さなビスクドールで力のある目が魅力的で、中国風のキャラクター作りを得意とされています。

・是空さん
是空さんは、伝説や妖怪のようなファンタジーに根ざしたキャラクターに取り組み、一作ごとに表現に磨きがかかってきています。

2016年9月17日土曜日

みそろぎ夜話⑫

『DOLL FORUM JAPAN』の終刊までの数年間は、府中でノンク・プラッツというギャラリーを同時運営し、編集事務所にしていました。ノンク・プラッツは厳選した新人の方に東京での展示発表のステップにして頂くための企画展オンリーのギャラリーでした。そこでは、くるはらきみさん、立川好江さん(青の羊)、影山多栄子さん、coppers早川さん、西村FELIZさんなど現在素晴らしい活躍をされている方々が個展をされました。ノンク・プラッツの個展オープニングは夜通しの宴会となることもしばしばで、今思うと本当によく飲み、話し、笑いました。
終刊してからほどなく、ノンク・プラッツも閉廊。
ノンクプラッツに集っていた作家たちと、作り手のためのネットワークづくりをお手伝いしようと始まったのが、チーム・コヤーラです。
2009年に発足し、2012年から公募展の開催に取り組みました。公募展は隔年で開催。この公募展から、出品をお願いした方が本展にはいらっしゃいます。

・archibrasさん
archibras(あるしぶらす)の角松千恵子さんは、第1回チーム・コヤーラの公募展で四谷シモン賞を受賞されました。小さくて赤い一つ目の「セミヨム」が選ばれのは、意表を突いたこともありますが、他の作品と一線を画す存在感がありました。本展の作品を見ても、この方でなければできない人形の世界を感じます。
第1回チーム・コヤーラ創作人形公募展 




・ユズミコさん
第3回の公募展でよねやまりゅう賞を受賞したのが、ユズミコさんです。故天野可淡と交流のあったよねやまさんは「女は子宮で人形を作る。男にはそれができない」とよく言い、その特質を強く発揮する作家にジェラシーを感じるそうです。布の塊にもとられかねない応募作品に、その可能性を見たのでしょう。鉛筆画と人形を通して描かれるユズミコさんのひとがたは、素材から浮かび上がってきた影や形のように思えます。




・よねやまりゅうさん
ユズミコさんに賞を授賞したよねやまりゅうさんは最近ではトヨタのPassoの「マツコの椅子」の制作者として話題になりました。FRP造形でどんな依頼もこなし、業界では縦横無尽に活躍されています。そのよねやまさんは国内でビスクドール指導の先駆けであり、ワックスドールも得意としています。造形の仕事に追われながらも、本展では得意のFRPで最新意欲作を発表されています。

2016年9月16日金曜日

みそろぎ夜話⑪

昨晩『DOLL FORUM JAPAN』の話題に触れましたので、今晩もまた関連のご紹介を。1998年のDFJ人形展は会員対象の小規模なものでしたが、全国的な人形公募展の開催を求める声が多く、2000年を迎える前年の1999年に六本木のストライプハウス美術館で「新世紀人形展」を開催しました。これはアメリカやロシアなど海外からの応募も受け付け、四谷シモンさん、辻村寿三郎さんという人形作家はもちろん、美術評論家、音楽家、舞踏家といった各方面からの専門家10人による個人の賞を競うコンテストにしました。ナタリア・ポペディナ、イマ・ナロディツカヤなど今はロシアを代表する作家もこのコンテストに応募していました。

 新世紀人形展の図録『人・形・愛』は、くるはらきみさんの受賞作「伝説」を素材に表紙をデザインしました。

・くるはらきみさん
そのなかで精神分析医の藤田博史氏の賞を受賞したのがくるはらきみさんでした。普通に可愛い関節人形としてもいいところを、口のなかから花が生えた少女をフレームに固定し、独自の世界が感じられました。オーブン陶土を使った質感も特徴的です。それがくるはらさんの人形に伴う絵画のイメージと物語にあっていて、作品としての奥行きを深めています。そして、必ず愛らしい。本展のヤマタノオロチ君はくるはらさんとしては珍しく日本神話をテーマにしています。



・影山多栄子さん
17年間の『DOLL FORUM JAPAN』で人形として表紙に最後に登場したのは影山多栄子さんでした。DFJは17年間の発行を経て、人形の本質や人形に現れる日本人の特異性などを考え続けていました。特に「現代」「創作」のキーワードはある意味で人形の本質と正反対の位置にあるものでした。市松人形のような人形を作りたいと言っていた影山さんの目指す作風は、それに対する答えのひとつだったように思います。10年の時を経て、それは正しかったのではないかと思います。





2016年9月15日木曜日

みそろぎ夜話⑩

『DOLL FORUM JAPAN 』(通称DFJ)という創作人形の本をご存じの方は、このMISOROGI人形展の出品作家にはDFJに登場して頂いた作家の方が何人かいらっしゃいます。
『DOLL FORUM JAPAN 』は読者の作品写真を講評する「誌上展」というコーナーがあったのですが、それを集約した1998年にDFJ人形展という国内の公募展を開催したことがありました。ちいさな試みでしたが、審査員に四谷シモンさんと辻村寿三郎さんのお二人を迎え、現在活躍中の作家の方々、たとえば佐藤美穂さん、佐伯祐子さん、太山レミさん、柴倉一二三さん、上野陽子さんなど錚々たる方々が出品された公募展でした。

・イフンケさん(イフンケ〜小松編める〜)
そのなかで演出写真で「DFJ賞」を受賞されたのがイフンケ(小松剛也)さんでした。
こけしに球体関節の構造を組み込んだ「きぼこちゃん」、東北の山村をバックに撮影した写真が受賞しました。斬新なアイデアだけど、その愛らしさが違和感なく受けとれる「きぼこちゃん」の作者はどんな方だろうと興味が湧き、宮城の七ヶ宿という村まで取材に行きました。長身でひょうひょうとしたイフンケさんは山と自然をこよなく愛し、この村で園芸で身をたて人形作家になることを目指していました。
そんな自然をこよなく慈しむイフンケさんに、その自然は無情にも3.11の津波でご実家とご両親とお祖母様の命を奪ってしまいました。
被災後一ヶ月、彼の消息を尋ねる私の電話に、イフンケさんは「人形作家としてやっていきたい。そういう希望がなければ生きていけない」と言いました。その言葉を受けてチーム・コヤーラで「神様たちとの復興展」を東京で開催。千葉惣次氏の切り紙コレクションとのコラボレーションで彼の人形展を企画しました。被災してから半年後、絶望の海辺を歩いていた彼は、展示する人形を抱えすし詰めラッシュの山手線に乗っていました。
しかしあれだけの災害、復興はまだ終わっていません。
その後も彼はフラッシュバックと身体の不調を抱え、困難な状況を解決できずにいるそうです。でも、最近は編み物を始めたとか。幸せそうなほっこりした雪だるまのような人形を、編み物の敷物や飾りが添えられてます。
そして、その人形はやっぱり球体関節。どうしてもまるまるしてしまう遊び心は変わらないようで、救いに感じます。




・弥治郎こけし(新山吉紀・真由美夫妻)
取材のときに、イフンケのお気に入りの場所で案内されたのが弥治郎こけし村。その時に、今回出品されている新山吉紀さんを紹介されました。宮城県白石で弥治郎こけしを興した新山弥治郎の家系で、真由美夫人とともに美しい彩色のこけしや木地雛を制作し、全国に広めていらっしゃいます。


・杉田明十志さん
イフンケさんを取材したときに、福島に転居したばかりの杉田明利さん(現在、明十志さん)にもお会いしたいと思い、人形つながりということでお二人を引き合わせました。
DFJを始めた頃、人形を作り多摩地域の神社の市で人形を見せている人がいると聞きました。それが杉田さんでした。杉田さんは多摩美術大学卒業後、デザイナーとしてもお仕事されていたと思います。当時は遠野物語などをテーマにされていました。それからしばらくして、結婚して福島の飯岡温泉に越されたとき、桃源郷のような場所が本当にあるんだと感激されていたのを思い出します。それからの作風は天使やお地蔵さまのように穏やかに人の心を癒すような作品が増えたようです。
今回は搬入・飾り付けのために上京されました。変な言い方ですが、ご本人の印象が人形に似てきたように感じます。
今は伝統人形の量産の原型を作る仕事でもご活躍です。

2016年9月14日水曜日

みそろぎ夜話⑨

いよいよみそろぎ人形展初日です。
ウクライナ人のユリアが制作した大きな切り紙が空間を引き締め、神々を紙で祀った先祖の記憶が自分のなかに蘇ってくるようで、なんとも面白い経験です。それがFANTANIAMA!の会場美術を担当した飯野モモコさんの作品の飾りとも面白い相乗効果を生み出してます。
今日は、その空間で石田百合さんのパフォーマンス「ゆりかご」があります。

・石田百合さん
石田さんとは長いおつきあいで、北海道でフェルトで人形制作をしている頃に知り合いました。初めて頂いたDMが、ご自身も自作のフェルトの妖精のような衣装を着て、草原で人形に魔法の杖を振っているようなポーズの写真で、強烈な印象でした。
モンゴルを旅行したときは、遊牧民のゲルで暮らしたこともあるという経験の持ち主、ご本人も自由な生き方をされていて表現方法も変化を続けています。素材もフェルトから糸も使うようになり、フェルト人形にはなかった透明感が出るようになりました。
身体表現にもずっとご関心はあったようで、それが今はフリージャズのサックスの演奏でパフォーマンスをされています。今は、石田さんの表現に音楽が欠かせないものになっています。本日の公演「ゆりかご」は、人形になったギターと一緒に、詩的な世界が見られることでしょう。公演は19日にも行います。観覧無料ですので、ぜひご覧ください。




2016年9月13日火曜日

みそろぎ夜話⑧

展示搬入日を控え、夜通しの作業が続きます。出品者の方も、一部はそんな方がいらっしゃると思います。
郷土人形の吉田義和さんも、本展に向けてたくさんの今戸人形を制作し、早々に届けて頂きました。
古代、民俗、郷土の人形から現代につながる人形の糸を、MISOROGIで探してみてはいかがでしょうか。

・吉田義和さん(古型今戸人形)

大学で油絵を専攻し、美術教師の経験もある吉田さんは、江戸の今戸人形を可能な限り再現するために、原料の粘土作りから制作に取り組んでいます。ホームページやブログではその過程や奮闘ぶりがうかがえます。
第1回の展示に参加されるとき、「高級料理みたいな人形が並んでいるところに、僕のおでんみたいな人形がごちゃっと並んでもいいのかなあ」と心配されてました。そのおでん、大好評でした。今年も変わらぬ美味しいおでんをどうぞ。





・前田ビバリーさん

前田ビバリーさんも、本格的に郷土人形に取り組まれてますが、画賊という作家グループにも属し、アートと玩具的な文化のあいだを自由に往来されてます。遊び心と現代的なセンス、女性らしい繊細さのあるビバリーさんの張り子人形は、現代のコンクリートとアスファルトに満ち、どこまでも住宅が途切れない「郷土」に住む人々のための人形です。画賊は本展と同時期に淡路島で開催される「狸千年プロジェクト」というレジデンスプログラムに参加、ビバリーさんも参加されます。
狸がいっぱいのお祭りのようですよ。






・澤藤範次郎さん(さわはん工房 六原張子)
澤藤さんは、岩手で職人の家系のご出身です。伝統の六原張子を踏襲しつつもご自身の「さわはん工房」で、オリジナルの人形創作も楽しんでおられます。さわはんさんの人形はどれもユーモラス、土地の材料の張り子紙の風合いとデザインも洗練されていて、モダンなインテリアにもよく似合うしおめでたい雰囲気いっぱいなので、様々なショップやイベントにもよく出品されています。本展では、制作で大いに遊んでください、とお願いしました。電話の向こうで「いいんですか?」という声。いいんです!楽しみ楽しみ。


2016年9月12日月曜日

ネオアニミズムのDNA

MISOROGI人形展は、企画者がユリイカ「人形愛」特集(2005年5月発行)のために執筆した「他者としての人形性と日本人」の最終章の実践となっています。

MISOROGI人形展第2回。
紆余曲折しつつ、9月14日からスタートします。
お近くにお寄りの際はぜひお立ち寄りくださいませ。



初日(14日)のご注意

MISOROGI人形展 初日のお知らせ

 14日(水)9時オープン
 整理番号・抽選や発行はありません。
※写真のダヴィデンコのブローチ(4点)のみ、9月14日9am〜10amの間お一人一点のご購入に制限させて頂きますので、予めご理解とご協力をお願いいたします。

2016年9月11日日曜日

みそろぎ夜話⑦

さて、大人少女趣味はロシアも充実期を迎えているようです。今晩はロシアの作家の方々をご紹介しましょう。

ホフロヴァ・マヤさん  
Hohlova Maya
マヤの作品は以前からなんとなく面白いと思っていました。綿など、シンプルな素材の性質をうまく生かした造形をする作家です。それが最近、急にインパクトが急上昇。瓶のコルクに顔を描いたブローチを見たときは何か、見てはいけないものを見てしまったような感じがしました。FANTANIMA!に出品された兎の人形に至っては何が彼女におこったのか、と思いました。ドイツの人形展で会ったときはごく自然体で何も変わって見えなかったのですが・・・。その観察眼と発想の掛け合わせ、彼女が生物学を専攻していたことと関係があるのでしょうか。
最近の彼女の作品は古い家の物陰にある人形のような感じが丁寧に表現されています。今回、人形作品と小品あわせて数点出品。次に何がでてくるか予想のつかない、目が離せない作家です。







レザノヴァ・スヴェトラナさん  
Rezanova Svetlana
レザノヴァさんは最近、ウラル創作人形作家協会の会長になりました。作家として、友人のタチアナ・セロヴァと組んで制作するコラボレーションでは、人形の「物語力」というのでしょうか、背景や設定、情感が美しく凝縮されたひとつの風景のような大作を見せてくれます。人形の美しい目の表情を見ると、レザノヴァさんの人形だとすぐに分かります。
今回は今にも踊り出しそうな踊り子。どんな踊りを見せてくれるでしょうか。




ブラソヴァ・ヴェラさん
Vlasova Vera
ロシアではテディベア作家として人気の高いヴラソヴァさん。ものつくりに興味をもったきっかけは人形でした。人形の面白さ、難しさに取り組みつつもベアでも人気が高まったため、制作はベア中心でしたが、この企画にあわせて人形の制作を再開してくれました。つぶらな瞳、神経の行き届いた布地の吟味、加工は彼女の作品を通しての特徴です。兎の精霊シリーズ「過ぎゆく夏の時を忘れないよ」の動物も出品、ロシアの森の空気を感じて下さい。



マート・オルガさん
Mart Olga
モスクワ在住のマートさんの作品は、FANTANIMA!とMISOROGI、ともに欠かせなくなりました。絵から浮かび上がったような人形、美しい色彩、詩的なイメージ。毎回、天使、鳥、少女。。。それこそ身近なアイテムとして部屋のあちこちに置いていつまでも見つめていたくなりますね。


アリヨシナ・マーシャさん
Alyoshina Masha
ロシアの新人作家、アリヨシナさんがFANTANIMA!で動物のぬいぐるみを出品されてましたが、実は人形が大好き。彼女は子育て中の母親ですが、そういえばお母さんが作ってくれる人形ってこんな感じだったと思い出しました。くたくたの手足がカワイイです。会場でぜひ、お手にとって遊んでみてくださいね。