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2016年9月20日火曜日

みそろぎ夜話⑰

人形の表現は、欧米と日本でかなり違いがあると思います。欧米の作家はジオラマのように作品にメッセージやストーリー性をはっきり持たせる傾向がある一方、日本では人形そのものに内面的な内容を持たせるように思います。しかし、最近はその差異も少し曖昧になっているかもしれません。

・ロミナ・ベレニス・カネット

Romina Berenice Canet
アルゼンチン人のロミナさんはイギリスで作家活動をしています。大好きなサーカスをモチーフに、詩やイラストから人形、テディベアと幅広く制作をしています。サーカスのシュールで幻想的なイメージから生まれる「あなたが寝ている間に」のシリーズは、悪戯心のあるタイトルと表情がなんとも言えない味わいがあります。




・クセニア・シンコヴスカヤ

Ksenia Shinkwskaya
FANTANIMA!でもおなじみのシンコヴスカヤさんは、モスクワ大学を卒業したエリート。今はラトヴィアで森や山を歩き、そこで出会った精霊の姿をフェルトで制作しています。洗練されたデザインと飛び抜けた発想、ユーモアのセンスで、ぬいぐるみ作家のなかで強い個性を発揮しています。





・ダヴィデンコ・アンナ
Davidenko Anna
同じくFANTANIMA!で大人気のダヴィデンコさん。エストニアの作家で、小さなベアのアクセサリーは大人気ですが、バルト海の海岸で拾った石や貝殻などで次々に奇妙な愛らしい生き物を生み出してます。彼女の発想の豊かさには果てがないように思うこと、たびたびです。



みそろぎ夜話⑯ 

人形はアートにおいても普遍的なモチーフです。それ故に、カテゴリーを往来して活躍する作家の方もいらっしゃいます。

・Noe(高橋野枝)さん

Noeさんは人形展、美術展、フィギュアのイベントなど、あらゆるジャンルのイベントに出品しながら、どこでも馴染み、そのジャンルにおいての評価を得ています。さらには、ロシアでも文化の壁を越えてすぐにファンを魅了してしまいました。オリジナル作品では珍しいことだと思います。作品の持つ不思議な無国籍性は、愛する動物や生き物の観察を通して生まれる自由で確かな造形力と発想によるものではないかと思います。

・河野滋子さん
河野滋子さんの人形のフォルムの緊張感は、作品の大きな特徴で多くのファンを魅了してきました。最近では現代アートとして作品発表をするようになり、形がさらに抽象的になる傾向がありますが、そのなかでリラックスした気分が浮き上がってきているように思います。本展に向けて制作された「生き物のフォルム」には、水か空中を浮遊する妖精のような愛らしさを感じます。



・コイケジュンコさん
人形ではありませんが、ひとがたつながりということで、今回は美術家のコイケジュンコさんの木版画「じじばば百景」を出品して頂きました。浮世絵のスタイルで現代の下町の老人の日常的な風情をユーモラスに描いています。現代美術としての作品ですが、本展では郷土人形の合間に掲示しました。考え方では郷土人形もシュールな美的側面があります。それらがしっくりなじみ、郷土人形の「日常的」風景に溶け込みこの版画のコンセプトを再認識しないままご覧になった方も多いのではないかと思います。




みそろぎ夜話⑮

さて、早くもMISOROGI人形展最終日を迎えることとなりました。人形に対して、様々なアプローチがありますが、この展示は人形を作るという遊びに大まじめに取り組んでします大人が集まっているように思います。もちろん、真剣にならないといいものは作れませんが、芯に遊び心を持つことは不可欠だと思います。
大正時代に大人なのに郷土玩具を愛好する人たちを「子供」に対して「大供」、郷土玩具を大供玩具と呼んだことがあったそうですが、 現代の大供はこんな人たちでしょうか。

・安達忠良さん
冗談彫刻と称し、長野の自然に囲まれた環境でウィットとユーモアのある木彫の人形を作られてます。だいたい動く仕掛けがあり、笑いを誘う動きが見られます。今回は季節にあわせてワインボトルを使った男女。いつも楽しいお酒を飲まれている安達さんの姿が想像できそうです。

・ユニバーサル・プーヤンさん
複製する樹脂のボディの原型から衣装まですべて自身で制作する夫婦ユニット。二人に共通するのは、おもちゃが大好きだったこと。コレクターとして量産の玩具に関する知識は豊富なだけに、オリジナルキャラクターをつくりあげるまでに、微に入り細に入りこだわりがあり、制作の苦労談が沢山あるそうですがどれも面白おかしく聞こえてしまうのは、すべては玩具への愛情ゆえ。大供そのものと呼びたいお二人です。



・本多厚二さん
風のように自由な子供心には、落ちている小枝やガラクタも命あるものに見えてしまう。本多さんの作品を見ていると、何でもない素材に魔法がかけられたように、詩的な風景が生まれてきます。大供のものつくりでないとできない技ではないでしょうか。



2016年9月19日月曜日

みそろぎ夜話⑭

郷土人形は庶民が一般の暮らしになじんだものでした。現代の私たちが見ている
愛らしい色や形は長年の変遷を経て練りに練られたものだと思います。量産の土産物の制作発注が中国や海外に流れていく状況で、地域の素朴な素材、一筆の勢い、遊び心は他に変えられないものだと思います。型から作る人形ですが、どれも一点ものに値する魅力があります。

・太田幹子さん(髙松宮内張子)

昨年のMISOROGI人形展のメインビジュアルとなった「奉公さん」、会場で大人気となりました。髙松に伝わるこの張り子人形の愛らしさは、災厄を担い平癒を祈る無私の心に由来するのではないかと思います。本年は、他の人形もいろいろ展示しています。御殿狆のまん丸の目、福助さんのおめでたい顔を見ると、郷土玩具は日本のポップ元祖といってもいいかもしれませんね。






・永田禮三さん(木の葉猿)
日本のアニミズムを感じさせる郷土人形といえば、まず熊本の木の葉猿を思い出します。1200年あまりの伝統をもつ素焼きの猿。白、赤、青の色づけも鮮やかでインパクトがあり、団子猿などは現代美術として展示されても分からないのではないかと思います。先祖伝来の技法を守る永田家による制作で災難除け・子孫繁栄のお守りに使われてます。




2016年9月18日日曜日

みそろぎ夜話⑬

本展に協力しているチーム・コヤーラは、隔年で創作人形公募展を開催しています。この公募展は、出品作品へのオープンな講評と出品者同士の交流を目的としています。応募をきっかけに、本展やFANTANIMA!などの協力企画に新人として挑戦する道も開かれています。
第3回チーム・コヤーラ公募展は本年11月14日から20日までNHKふれあいホールギャラリー(東京・渋谷)で開催されます。

・風らい坊さん
風らい坊さんは第2回の公募展で四谷シモン賞を受賞しました。フェルトの人形制作は人気がでてきていますが、風らい坊さんの人形には往年の人形絵本に見られるような哀愁と目の力に特徴が見られると思います。
第1回のarchibrasさんとあわせると、この2回の結果を見る限りにおいては四谷シモンさんの関心は、小さく愛らしいく個性的な布の人形に向けられています。さて、本年はどうでしょうか?


・ゆきちさん
ゆきちさんも毎回出品されている方で、小さなビスクドールで力のある目が魅力的で、中国風のキャラクター作りを得意とされています。

・是空さん
是空さんは、伝説や妖怪のようなファンタジーに根ざしたキャラクターに取り組み、一作ごとに表現に磨きがかかってきています。

2016年9月17日土曜日

みそろぎ夜話⑫

『DOLL FORUM JAPAN』の終刊までの数年間は、府中でノンク・プラッツというギャラリーを同時運営し、編集事務所にしていました。ノンク・プラッツは厳選した新人の方に東京での展示発表のステップにして頂くための企画展オンリーのギャラリーでした。そこでは、くるはらきみさん、立川好江さん(青の羊)、影山多栄子さん、coppers早川さん、西村FELIZさんなど現在素晴らしい活躍をされている方々が個展をされました。ノンク・プラッツの個展オープニングは夜通しの宴会となることもしばしばで、今思うと本当によく飲み、話し、笑いました。
終刊してからほどなく、ノンク・プラッツも閉廊。
ノンクプラッツに集っていた作家たちと、作り手のためのネットワークづくりをお手伝いしようと始まったのが、チーム・コヤーラです。
2009年に発足し、2012年から公募展の開催に取り組みました。公募展は隔年で開催。この公募展から、出品をお願いした方が本展にはいらっしゃいます。

・archibrasさん
archibras(あるしぶらす)の角松千恵子さんは、第1回チーム・コヤーラの公募展で四谷シモン賞を受賞されました。小さくて赤い一つ目の「セミヨム」が選ばれのは、意表を突いたこともありますが、他の作品と一線を画す存在感がありました。本展の作品を見ても、この方でなければできない人形の世界を感じます。
第1回チーム・コヤーラ創作人形公募展 




・ユズミコさん
第3回の公募展でよねやまりゅう賞を受賞したのが、ユズミコさんです。故天野可淡と交流のあったよねやまさんは「女は子宮で人形を作る。男にはそれができない」とよく言い、その特質を強く発揮する作家にジェラシーを感じるそうです。布の塊にもとられかねない応募作品に、その可能性を見たのでしょう。鉛筆画と人形を通して描かれるユズミコさんのひとがたは、素材から浮かび上がってきた影や形のように思えます。




・よねやまりゅうさん
ユズミコさんに賞を授賞したよねやまりゅうさんは最近ではトヨタのPassoの「マツコの椅子」の制作者として話題になりました。FRP造形でどんな依頼もこなし、業界では縦横無尽に活躍されています。そのよねやまさんは国内でビスクドール指導の先駆けであり、ワックスドールも得意としています。造形の仕事に追われながらも、本展では得意のFRPで最新意欲作を発表されています。

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